【公開講座】5ブロック主催 気象情報の活用について~自然災害にも備えよう~
令和7年8月23日(土)
この度、福井市ご出身である森隆志 前気象庁長官の講演会を拝聴し、私たち訪問看護師の業務がいかに自然災害のリスクと隣接しているか、そして気象情報を活用することがいかに重要であるかを改めて認識いたしました。私たちは日々、雨や雪に関わらず利用者様のお宅へ車で訪問します。講演で紹介された時間ごとの詳細な天気予報や、雨雲の動き、そして「みち情報ネットふくい」のような道路カメラの情報は、安全な訪問ルートの選定やスケジュール調整に不可欠なツールです。特に、これからの季節に懸念される局地的な大雨や、冬季の急な積雪に対して、早期注意情報をもとに早めの対策を講じることで、安全を確保しつつ質の高い看護を提供し続けられると確信しました。
訪問看護の対象となる利用者様は、ご高齢であったり、医療機器を必要とされたりと、災害時に支援を必要とする方々が多くいらっしゃいます。講演で特に心に残ったのは、警戒レベル3「高齢者等避難」の重要性です。この情報が出された際に、私たちがいち早く利用者様やご家族に状況を伝え、避難の準備を促すことができるか。それは命を守る行動に直結します。そのためにも、ハザードマップで担当する利用者様のお宅周辺のリスク(浸水、土砂災害など)を平時から把握しておくことが重要です。また、福井県が過去に「福井豪雨」や「福井地震」といった大きな災害を経験し、今も「福井平野東縁断層帯」という地震リスクを抱えているという事実は、決して他人事ではありません。日頃から利用者様と協力し、家具の固定や安全スペースの確保といった「日頃の備え」を一緒に考えることも、私たちの重要な役割だと感じました。災害は個人の備えだけでなく、組織としての備えも問われます。
今回の講演は、各ステーションの事業継続計画(BCP)を見直す絶好の機会となりました。災害発生時に職員の安否確認や利用者様との連絡手段をどう確保するか、どの利用者様への訪問を優先すべきか。森前長官が示された様々な災害事例と防災情報を参考に、より実践的な計画へと改善していく必要性を痛感しています。「天災は忘れた頃にやってくる」のではなく、気候変動により災害の頻度が増している現代において、気象情報は単なる「天気予報」ではなく、**「利用者様と自分たちの命を守るための情報」**として、今後も積極的に活用して参ります。貴重なご講演を賜りました森隆志様に、心より感謝申し上げます。